高野参り、熊野詣で

高野参り 熊野詣で

こうやまいり  くまのもうで

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00/07/04

目覚ましは3:57にセットしてあった。

目覚ましを止めて数分・・・
    「行くか?」
    「行く」
とわれわれは起床してイソイソと身支度を整えた。ツーリング・マップルも新版だ。

6月は日曜日が全て仕事でつぶされたので、ウズウズしていた。

今日7月2日は天気予報でも降水確率10〜20%と、ツーリング日和。毎日暑いので、山中で涼もうと思い、高野山を目指す。

毎度のことながら、トランザルプ400でタンデムである。

芸のない道だが、京都市内から国道24号をひたすら南下する。

妻は、御所市や五條市に入った所から見上げる葛城山系の斜面が好きだという。山の途中には雲がポッコリ発生しているが、空は真夏のように真っ青で澄んでいる。今日はラッキーな天気だ。

五條市でまちがって国道168号へと左折するが、これは十津川に行く道だ。
     「えっと、ここじゃないなら何処で曲がるんだっけ・・・?」
     「・・・」
     「あっ! 地図忘れた!」
仕方がないので、コンビニで地図をちらっと立ち読みして、高野山は橋本市に入ってから南下するのだと思い出した。

地図がないので、二見温泉に出たり県道橋本五條線を逆走したりのまちがいはあったが、酷道371をみつけて南下する。久々に走る371号は山あり谷あり、楽しい。路線バスの停車標があるのには驚いた。

9:00に高野山金剛峰寺に到着。

この寺院は初めて。墓だらけだ。高野山は巨大な墓地だった。歴史上の有名な人々の墓や企業の慰霊碑がたくさんある。妻の父親は、在家の僧で、高野山に憧れているらしい。死地に憧れるのも不気味な話だな〜。

信仰心のかけらもなく、ハカナイ人生上等の私にはつまらない場所であった。

奥の院に川(丹生川?)を渡ると写真撮影も禁止。ゆかた・たんぜんも禁止(ゆかたで来るかなフツー?)。NHKで放映していた「重軽石」のようなものを、観光の親子が持ち上げようとしていたら、尼さんが、おまいりのあとに触るだけだ! とどう喝していた。

高野山金剛峰寺=日本仏教のパラダイスのひとつで、小1時間も墓を調べたあと、いよいよ龍神スカイラインだ。

素庵さんが言っていた、料金所をパスする道を見付けた。地図はないが、たぶんこの道だろう。この道、県道53もけっこうなスカイラインで、なかなか楽しい。 道がまがりくねって、あっち向き・こっち向きするので、妻は分岐で、
     「本当にこっちなの?」
とわめくが気にせず(標識を見れば明白)「高野龍神スカイライン」に乗った。

夏草が生い茂って、眺望はあまり良くないし、ススキも花もないが快適ではある。

和歌山県下最高所の護摩檀山のスカイタワーにも登ってみた。地図がなく、下調べもしていないので、ちょっとつまらん。

タワーからおりて黒い首輪のない犬の相手をして・・・、さあ、南下するゾ!

ほどなく龍神温泉に到る。有名な下御殿・上御殿もある。妻は、外来公衆浴場の前で車乗の私を見る。
     「ねえ、600円で、『日本三大美人の湯』だよ!」
     「このクソ暑いのに、温泉になんか入れるか! わしら急がんとアカンのや!」
と入浴の要求を足げにしてさらに南下する。妻は後ろできっとうらめしいツラをしているのだろう。

龍神から十津川か本宮に出ようと思っていた。地図がないので詳細が不明であるが、たしか、3本くらい東西に道が走っていたはずだ。 そしてそのうちの一番北の道(国道425)は以前通ったことがあって、昴の郷という温泉に出ることは知っていた。でも今日は暑いので、温泉には入りたくない。よってもう2つ南の道を東に行きたい。

しかし、高野龍神スカイライン(国道371)はだんだん南ではなく、西に向かっているように思える。おかしいなと思った頃、「龍神十津川線(国道371から県道725に変わる)を見つけ、東へ行く。

龍神村内で国道371を東に進んでいると思ったのに、いつのまにか県道になっている。地図がないので、「変だな〜」と思いつつ丹生の本川沿いを東へ。途中、今をときめく安倍清明が魔物を退治したという碑を見つけた。看板を読めば、やっつけるのに三日三晩も要している。大変だな〜。

さて、途中で龍神本宮林道への分岐を見つけた。 本宮か。なら、熊野神社に行ってみようかな〜。妻には言わずに、林道を進む。 この林道は対向車が2台くらいしかなく、何の施設もない。崖崩れ跡も多く、どこに向かっているかわからない妻は不安で仕方がないらしい。道は延々と山のヒダにそってワインディングをくり返す登り坂ばかり。
     「本当にこれであってるの? 本当にこれであってるの?」
ようやく、登りが終わって下りがはじまった。もう1時間以上も山の中(山の上)を走っている。
     「じゃあ、引き返そうか?」
     「ええーっ? やっぱりまちがってるの? 引き返すのはヤダ」
     「そんなら、行きまひょ」

林道が終わって国道168の道の駅を経て、熊野本宮大社に着いたのは2:30頃だった。

熊野大社に詣でる前に、腹ごしらえをしたくなった。

珍重庵(?)でザルソバを頂く。

熊野大社は長い階段を上っていくと、日本一の鳥居の宣伝がやたら目についた。肝心の熊野大社がいったいどういう社なのかについてはよくわからない、という仕組みになっている。事前の学習もないので、とにかく、「蟻の熊野詣で」と言われるほど有名なそれだ、ということくらいしか憶えていない。おまけに、もうそろそろ帰らなければならない。

北山村・下北山村の道はきっと涼しいだろう。

われわれは、国道168号を北上し、途中で169号に乗り替えることにした(但し、地図がないので私の頭の中で、なんとなくのツモリ)。

十津川温泉を過ぎると、下北山村(北山村か)はコッチの標識あり。これが林道なのか国道425なのか思い出せないが、その道を東に行くと、途中で、「瀞峡」はコッチの標識有り。
     「行ってみようか」
と瀞峡を目指す。これが結構長い東行きの道だった(地図がないのでどんなに遠回りかわからなかった)。

ようやく瀞峡付近に着くと、空は曇っていた。風も強い。
     「夕立、来るかも」
とっとと、北上しよう。しかし、下北山村に入り池原ダムあたりからポツッポツッと水滴があたるようになり、上北山村では土砂降りになった。用心のために携帯したカッパを着る隙もなく、私はプールに服を着たまま入ったようにずぶぬれになってしまった。後ろの妻の被害はなぜか少ない。

1日2本しか通らないバスの停留所で雨宿りし、妻はカッパを上だけ、私はゴアのジャケットを着た。

下北山村のバス停の「小屋」で雨宿り。時刻表を見ると、1日2本しかバスは来ない。

バス停で雨宿りしていると、北海道での同じようなシチュエーションを思いだした。

あのときもすごい土砂降りで、ずぶぬれになった荷物の中からラジオを取り出して、天気予報を聞いたっけ。ラジオでは「雨が降っています」「まだまだ降ります」とだけ。

さて、バス停から北の方の空を見ると明るいので、きっと山間部のみ雨で、奈良市内はうだるように暑くて晴れてるのだろう。小ぶりになったところでエイヤッと飛び出して北上を開始!

ずっとぱらつく雨は、北に行けば行くほど小ぶりになって路面も乾いていく。
     「やっぱり北の方は降ってないんだ」

吉野町から談山神社の東を北上する道を通り、真っ直ぐ北上。

21時までには京都市内の自宅に着いた。

またもやハードな1日だったが、高野山への371号線と龍神温泉に御執心のようで今度は泊まり掛けで行こうと言う。

気楽に泊まり掛けでツーリングできる日が来るのは何十年先のことやら・・・。


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