2001-09-01

乗鞍スカイラインが通行禁止になるかも知れないという ニフティのフォーラムかパティオでの発言を読んで、未だ走っていない私は焦っていました。
9月1日の土曜日は勤務は休み。天気も晴のち曇りの予 報だったので行って来ました。


1日未明に起床し、とにかく走れる道を突っ走り、乗鞍 スカイライン入口に到着したのは昼頃だった。途中抜き つ抜かれつしたハーレーの御一行も先に料金ゲートをく ぐっている。
乗鞍の山の西半分は雲の中のように見える。


スカイライン終点にはトラブルもなく到着。駐車場から 更に歩いて登るべしと登山コースがいくつかある。後ろ に乗せてきた妻は登れという。しかし、パロマ天文台ま で?90分という看板がある。私がイヤがっていると、 それでは20分の富士見の山に登れという。前に来たと きにも登ったからだという。しかたがないので登ること にした。これが大変だった。もともとデスクワークばか りの上、最近転勤になり職場が近くなってますます運動 不足で肥満化傾向にある私はへとへとになってしまった。 眺めはたしかによかった。晴れている。山頂で写真を撮っ たりしているとたちまち雲がかかって近くの谷も見えな くなった。
スカイライン終点とその周囲の山々は観光バスや沢山の 観光客でいっぱいである。夏休み中だったらもっと多い のだからすごい。

山を下りて駐車場に行くと、車両の通行量をカウントし ているオジサンたち。バイクにまたがるとアンケートの オジサンが近づいてきた。
「乗鞍スカイラインと(なんとか)エコーラインが2年 後通行禁止になるかもしれないのですが、どう思います か」と。
アンケートに答えながら話していると、オジサンも元々 京都市内の人だという(私も現在は京都市)。20年ほ ど前に移住してきたのだという。
「なつかしーなー」
を連発して、アンケートは終わり。
出発しようと振り返るとオジサンはまた京都ナンバーの 車に声を掛けていた。
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乗鞍スカイラインの終点を山登りによって、ヘトヘトに なってこの地を後にする。

県道を通って上高地乗鞍林道へ。料金所のおばちゃんに
 「今日は多いですか?」と聞く。
 「いや、昨日までは夏休みで多かったけど、今日は少ない(ですよ)」
ややほっとして白骨温泉へ。
混んでいた。
公共露天風呂に入る。
タオルを購入したが何もプリントしてなかった。
中は湯舟に入る順番待ちで並んでいる。白濁した湯の中 でなんだか誰かに触れているのではないかという感触が 気持ち悪い。土曜日だから仕方ないか。
妻は待望の白骨温泉に入ることができて大感激の様子。
私が混んでいたのと湯がぬるかったのとで早く湯から出 てきたのを知ると憤慨している。
 「あなたには温泉のことがわからないのよ!」
せっかく連れてきたのに怒られてしまい、釈然としない。

平湯キャンプ場へ到着(キャンプ場は初めて)。
車とライダーとが半々くらいか。楽しそうである。我々 は持ち込みテントを張り、マットやシュラフをほうり込 んで食事に出かけた。旅館に泊まらないことで浮いた資 金でうまいものを食おうというのだ。
ところが土曜の午後5時というのに閉まっている店が多 い。みんな旅館で食べるから飲食店は用無しなのか?
空いていた店で飛騨牛の定食や丼を食して満足。
いったんキャンプ場に戻ってから、「ひらゆの森」の温 泉へ。ここは湯舟が多くて楽しい。身体はすっかり硫黄 臭くなってしまった。
帰りにカウンターの近くを通ると、ライダーらしき風貌 の若い衆が
 「今から申し込んで、ここ泊まれますか?」
 「だめです(キッパリ!)」

キャンプ場に戻ると、おのおののサイトで大小さまざま な炎が上がって楽しそうだ。キャンプ場は初めてなので なんだか物珍しい。
あるライダーは一人で焼きそばのようなモノを小さな火 で炒めていて、炎に照らされ暗がりに浮かんだ「わが道 を行く」という横顔がうらやましかった。
また、あるライダーのグループはわいわいと大きな火を おこしていて、これまた楽しそうだ。
あるサイトでは大きなバンの横にタープが張ってあり、 椅子とテーブル、食器類がきちんと並べられている。
テントはなく、今夜は車の中で寝るのだろう。やけに明 るいランタンか何かのお陰で清潔そうな食器や、神経質 に並べられた椅子やコップがよく見える。そのサイトに はテーブルに向かって若い女の人が肩と足とをピッチリ すぼめて、上目づかいで中空をにらむような虚ろなよう な目つきで独りで座っていた。ずーっと独りで。
ダンナはどこに行ったのか? なんだかこわかった。

テントに戻ると、日ごろは妻から禁止されているポテト チップスを食して就寝。山登りで疲れていた。
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平湯キャンプ場は楽しげなところであったが、必ずしも キャンプ場でなくても、ここ平湯周辺は野宿には困らな いようでもある。トイレは公衆のがあるし、空き地も風 呂もある。ただし、早朝から観光客が周囲を通ることに なるが。

早朝キャンプ場を出口に向かうと、あの暗い女の人のサ イトは、やっぱりタープが張ってあって、テーブルもき ちんとしていた。車の窓には暗い色のシールが貼ってあ るのか、真っ暗で中は見えない。中から逆にこっちを上 目づかいでうかがっているのかも知れないと思うと、あ んまりジロジロ見てはいけないような(そうだろうが) 気持ちが強くなって足早に通り過ぎた。
キャンプ場を出るとバスターミナルの近くの歩道にテン トとバイクがある。きっと昨日「泊まれないか」と訊ね ていた彼のテントだろう。ゆかたの行列がすぐそばを通 行している。

今日はわれわれは真っ直ぐ帰るだけだ。安房峠を行く。 が、まちがって峠の茶屋まで来てしまう。せっかくなの で展望コーナーで記念写真。早朝なのに車の夫婦もいる。 写真をとって差し上げる。
 「撮りましょうか」
と言うと大抵、お願いします。ということになるが、中 には、
 「私とこの人は一緒に写っちゃいけないんです」
と答える人もいるので、あまりしつこくしてはいけない。

間違った道を平湯へ引き返す。ついでに最近人気らしい 不動明王「神の湯」に入る。「秘湯」という感じだが、 やっぱり10人くらい客がいる。ぬるい。寒くてなかな か出られなかった。

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さて、高山へ出て、荘川、白鳥ともと来たコースをたど るのだが、また間違って「飛騨せせらぎ街道」を南下し てしまう。すごく気持ちのいい道だ。道沿いの農業用水 路ほどの大きさの渓流では釣りをしている。あんなミゾ ほどの川で何が釣れるのだろう?
あまりに気持ちがいいので、このまま八幡まで行ってし まおうかと思ったが、やっぱり時間が気になるので、西 ウレ峠より5キロほど北の林道を経由して国道158に出 ようと思った。去年のマップルで「むささび茶屋」から 1キロほど南に行ったところで西に伸びている林道であ る。ところが「むささび茶屋」が見つからない。そのう ち「西ウレ峠」に来てしまった。
仕方がないので引き返して、それらしい道に入ってみる とぐるりとまわって50メートルほど手前のもとの所に 出てしまった。その出た所と入った所の間にログハウス があってテラスに人がいたので道を聞いてみることにし た。
テラスにいた夫婦はわれわれを招き入れてお茶を出して くれた。愛知県の一の宮に住んでいて、週末にここ、せ せらぎ街道のログハウスに来るのだそうだ。定年後は、 コーヒーだけを出す店をここで開いてのんびり暮らした いという。

道を教えてもらった。
「清見の杜(別荘地)」の看板がその林道の入口だとい う。奥へ進むと「かわせみの森」という別荘になり、本 格的林道になる。
無事国道に戻り、ひるがの高原へ。
「木曽馬牧場」の看板を見て妻が行ってみたいという。 時間もまだ早いので行ってみた。馬がいた(当たり前 か)。馬を曵いてもらってグルリと一周する。
妻は乗せてもらって感激している(有料:千円)。
さて白鳥に戻った。あの長良川鉄道の終着駅「北濃」の 「福乃屋」のラーメンを食べてみたい。行ってみると、 日曜の正午前だというのに、閉まっていた。
 「12時から裏でバーベキュウをします
  よかったらきて下さい 参加無料」
とマジックで書いた紙が入り口に貼ってある。 ラーメンを食べにきたのであって「バーベキュウ」に来 たのではないので残念だが帰る。 道の駅白鳥でおにぎり(コンビニ)を食す。 ----------------------------------------------------------------------------------- 快調に帰路を走る。
国道158から476、417とつないで行く。マップルをよく見 ると国道417から県道248というのが西へ伸びている。こ れを使うと便利だなーと思っていたが、薄暗い森の中を 通る砂利道だった。この道は以前逆方向からチャレンジ してあまりの道の暗さ・荒れのために怖くなって引き返 した道だ。仕方がないので大きな県道に出てから、国道 8号、365号と進む。

国道365号に入ってしばらく行くと信号があって、赤に なったので、停止してエンジンも止めた。青になったの でキーを入れたが、何も反応がない。ライトも何もつか ない。もちろんエンジンも始動しない。
あわてて手信号で後続車を送ると妻を降ろし、路肩にバ イクを寄せる。
バイクに乗り始めて初めてヒューズボックスなるものを 開けてみる。ここから京都まで100キロ近くある。ここで 動かないとなると峠もあるし大変だ! そもそも、今回 のツーリングは家を出発して1キロも行かないうちにス ピードメーターもトリップメーターも動かなくなって、 いやな予感がしていたのだ(おかげで燃料残量管理やカー ブでのスピードコントロールが大変だった)。ものすご い力でヒューズボックスを開け、ヒューズをスペアか何 かも区別なく点検するが、異常なし。では何かの接触不 良か? わからないー!

不幸中の幸いで、すぐ近くにガソリンスタンドがある。 えっちらおっちらバイクを押して行き、電話を貸してく れるよう叫んで頼む。
 「どうしたんや?」
 「いやー、急に動かなくなって、ヒューズではないん  ですよ」
 「どら、ここで直るもんやったら直したるさかい」
ガソリンスタンドのおっちゃんもヒューズを全部見て、 ヒューズではない。接触不良はよくわからない。バッテ リーのところの接触不良か? いつもバイク屋委せで、 どこをどうすればバッテリーが出てくるかわからない。 そういえば、バイク屋がバッテリーを点検しているのも 見たことがない。
ようやくバッテリーを見つけて驚いた。バッテリー液は ほとんどなくなっていた。
 「今までどうやって動いてたんや?」
 「さあ、わからんです。」
 「とにかくこのバッテリーは、わしらの言葉で言えば 完全に死んどるわ」

コードをバッテリーから外して、何やらのクリップで無 理矢理エンジンをかけてもらう。
 「こんどエンジン止まったら、もう、動かへんで。
 押しがけしたらいくかもしれんけど大変やで。
 ガソリン持つかな? エンジンかけたままでガソリン入れてもらうんやで」
 「ガソリン、もうないんです。キーを抜いてエンジン止めないと、タンクの蓋、開か ないんです」
 「なんや、これもう一回止めて、ガソリン入れて、もう一回エンジンかけんといかんのか?」
 「ハイ」

満タンにして頂いて、エンジンをかけていただいて、お 礼を言って、ひた走る。エンジンが平地で止まったらお しまい。ガソリンがなくなってもおしまい。
幸い、道も大きくは間違えず、マキノあたりまで来た。
ウインカーを出すが2回ほど点滅すると力つきて消えて しまう。不安は増す。
暗くなってきた。雨が降ってきた。国道367号鯖街道は 交通量は多いものの、順調に流れている。道の駅付近も 突破! エンジンはとりあえず快調らしい。
と、細い登りで車の列は急にノロノロ運転になった。道 が細いので離合に手間取っているのだろうか? 数十メー トル進むと両側の並木が途切れ、ゆるやかにカーブして 遠くのつぎのカーブで見えなくなる道の先までズラリと 赤いテールランプが続いてぴくりとも動かないでいた。 たちまち水温計は上昇し、ブワーンとファンがまわり出 す。
 「これって何の電気で回っとんのやろ?
 ガソリンはまだ残ってるはずだが、ここで何かの拍子でエンストしたらどうなる?」
アブラ汗がじわーっとメットを湿らせる。

仕方がないのでバイクの特性を活かした走行をさせて 頂き、渋滞の原因の工事現場を通り過ぎ、無事に?自 宅へ到着。


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