……カーブを曲がったら樹木が切れ、頭上が開けて広い場所に出た。東屋もある。ここだぁっと乗り入れれば、先客有り。ST氏が幕営中であった。
「あっ、もしかしてここでテント張ろうとか、ですよね。あなたも」
「そうそう。ようやくたどり着いたンよ」
「あっ、じゃあ、ボクのテントずらしますね。二人で東屋、使いましょう」
テントを張りましょう。
ST氏 「あっ、山岳用3シーズンテントですね」
くらげ 「えっ、なんでわかるの?」
ST氏 「あぁ、ポールを通すやつですね、これ破れるんですよね」
ビチッ
くらげ 「あ、ほんとに破れた」
ST氏 「ボクのはね、こうしてはめるんです。これ(くらげのテント)はねここが布でしょう? ここから破れるんですよね」
以下、テント・寝具・炊事道具などについてのST氏による説明は略。頼もしいのだかなんだか。
さて、友だちって訳でもないので、背中合わせにテントを張った。食事の準備だ。ラーメンとミカンが多いので、分けてあげようと思い、声を掛けたが
「あぁ、折角ですけど、いいです。あんまりたくさんもらいたくないんですよね」
なんじゃこいつは。ミカンだけ少しもらってもらう。
さて、お尻はテントの中にいれて体育座りして昨夜・今朝と同じメニューの野宿麺である。常食を禁じられているソーセージは好物だからST氏には分けてあげないのだ。パツンパツンと音を立てて噛むウインナーソーセージはうまい。でも分けてあげない。
二人ともカチャカチャ炊事をして、モシャモシャ食べてしまうと互いに何も語らず就寝してしまった。隣同士居合わせたテントなのだから、ちょっとは語り合うのが作法かと思って構えていたのだが、ホッとするやらモノ足らないやら。まだ、19時頃なのだが寒い。ドカーン・ドカーンって道の工事も響き渡っている。「夜通しやるんじゃあるまいな」「うるさいですねぇ」と短い会話。頻繁に隣は寝返りを打っているようだ。こちらも寒くて丸まってしまう。そのうち工事の音もなくなり眠ってしまった。