越後・会津 2泊3日野宿旅
越後・会津 2泊3日野宿旅 7
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坂を市街地へと下る。左手はスキー場と休業中のホテルがある。ホテルの裏手には都合のよさそうな空き地・水道がある。覚えておこう。さらに下ると関越自動車道のICである。おおきなジャスコがあるので、水を買い足す。はじめ500mlの冷やされた水を数本手にしていたが、4リットルのペットボトルを発見。水がほしいというよりはペットボトルがほしいのだ。水をわざわざ買うのはばかばかしいが購入する。ここも深夜まで営業しているので自分のうちの近所でうろついているような気分と心強い気分とが入り混ざる。

ツーリングマップルを見ると、ここから10kmほど北の山に入っていくと「枯木又」というところにキャンプ場があるらしい。「斉藤記念病院」を目印に山のほうに分け入る。登りのグネグネ道に囲まれているのは、刈り取りの終わった田んぼや造成された宅地のようである。もう、暗いので宅地らしき地面がボゥッと白く見えるだけである。ここなら地ならしもしてあって、夜景も見え人気(ひとけ)も少なかろう。と上昇を続けると全面通行止めである。慎重に引き返して(ご存知のように、くらげのような万年初心者にとって中大型バイクの反転は転倒の恐れあり、転倒率も高い。)、別の枝道を選択してみると、山のほうから警官の自転車らしき光が降りてきた。
    「不審者狩り」か?
現地のおじさんだった。すれちがってから「どこに行くのか」と問われた気がしてバックで引き返す。「欠之上」(地名)に行くのかと聞いているようだ。訛りのせいか、ヘルメット越しのせいかよく聞き取れないが、この先も通行止めであること。道が崖下に崩れ落ちており、自分も原付で通ったが転落しかかって引き上げるのが大変だったこと。上には若い人が夏に泊まりに来るところ(キャンプ場らしい)もあるが、通行止めで行くことができないこと、などを知らせてくれた。自分(おじさん)は田んぼが心配で見て回っているとのことであった。「田んぼが上の方にあるから自転車では本当にたいへんなんだ」というようなことを言っている。通行止め情報に感謝し、拙者も立ち去る。こんな地元の人が見回るようなところで野宿はできないよ。

困った。もう19:00くらいだ。まっくらである。ここから12kmほど東のダムのほうに行くと、ダムのほとりにキャンプ場がある。キャンプ場がだめでもこんな田舎のダムなら、人気(ひとけ)も少なかろうし路上ででも野宿できるだろう。

国道17号に出て標識に従い、「三国川ダム」を目指す。途中、思いついてコンビニで箱ティッシュを購入。パニアの容量は頼もしい。途中「五十沢温泉」というのがあり、さらに「五十沢キャンプ場」の標識あり。先に「五十沢キャンプ場」を目指す。だって温泉つきのキャンプ場かもしれないではないか。まっくらな道を走りに走ると「全面通行止め」で自転車すら抜けられないバリケードがあった。残念。元の道に合流し、「三国川ダム」の「しゃくなげ湖キャンプ場」を目指す。

野宿者の本能なのか、人気(ひとけ)の無いところに早く行きたい。ところが、道の両側はずーっと家の灯りである。家が道に面して建っているのだ。ダムはまだまだ先なのか? 住宅街という感じの道を進む。進行方向上方にはダムの街灯なのか、山上のゴルフ練習場かグラウンドなのか、やけに明るいライトが照っている。いつまで住宅街が続くのか? 路面は濡れているのかテラテラしている。ようやく進行方向に民家の灯りがなくなったと思ったら「ダム公園」の地図看板。つまり目的地に着いた。振替えれば民家の灯りが見える。暗闇で掲示物をしげしげ見れば「ダムをぐるりの道はがけ崩れで通行止めなので一周できません。ごめんなさい」というような 掲示がある。肝心のキャンプ場は「オートキャンプ場」だという。こんなダム際(ぎわ)にまで民家があるのが訝しいが、とにかくこっち(東)はあっち(西)では降っていなかった雨が降っているではないか。引き返すしかない。ジャスコの駐車場のほうがまだマシである。

そうと決まれば、長居は無用。ひたすら懐かしいジャスコを目指す。ここら一帯の安心の源はジャスコである。ジャスコに行けばなんとかなる。

五十沢温泉に泊まろうかと思うもすでに20:00前だ。雨で濡れた格好で飛び込むのも面倒だし、西側は雨は降っていない。やっぱりジャスコに行く。地方議会の選挙があるらしく、ひたすら「おねがいします」と宣伝カーが走っている。あと数分で宣伝時間は終わるはずだ。ジャスコに到着。数時間前と変わらぬ店構えだ。人も多い。野宿者のくせに安堵する。

どうしようかなぁ。タウンページでビジネスホテルを検索するも広域過ぎる。駅前に1軒あり、か。それともジャスコの西の山のスキー場付近で野宿するか? 時間がどんどん過ぎていく気がする。心細くなる。不安のあまり食品売り場に足を踏み入れ、おにぎり×3パックを購入してしまう。 レジの人が拙者を見てシャンプーの試供品をわざわざ別のところから2つも取り出して「お使いください」とレジ袋に入れてくれた。哀れを掛けたくなるように見えるのか。