6:30くらいに眼が覚めた。青空に月が出ている。爽快である。
コンロに火をつけて昨夜と全く同じメニューのラーメンとコーヒーをすする。 やっぱりうれしい。
さて、食器類を残った水で洗い、片付けたら周辺を探検である。近くの溝に勢い良く水が流れていて、これは山水と思われる。不潔ではないようだ。体勢に気をつけて顔を洗う。気持ちいい。
まず、ここは「雨天時土石流注意」の危険区域であった。草がなぎ倒されているのもそのせいだろうか。テント付近に戻ると必ずしも雨や風水流のせいではなくやはり重機で荒らしたものと思われた。
宿営地は前述のように、平らなコーナーであった。暗闇で見えなかったコーナーの先へとあがってみると、すぐに宿営に適した草地があった。知っていればここにしたのに、残念である。 ここで行き止まりのようにも見えるが、もう去る身空であるのでそれ以上の詮索は止めておく。
晴れているが山間部のせいか雲がやってきてフライシートを濡らしている。フライを外して拭いたり叩いたり広げたりして乾かすがなかなか乾かない。地面に動物の糞か薄皮の木の果が腐ったようなヌメっと黒光りするものが落ちている。フライにかすってしまったので、現物に顔を近づけて嗅いでみる。重機のオイルらしい。見渡すとポテン・ポテンと黒いものが落ちていた。何なんだここは。
なかなかフライシートが乾かず、そのうちテントまでもが朝露で濡れてきた。タオルでテントを撫でながら、デジタルオーディオプレイヤー・イヤホンにて長編の曲を大音量で聴く。曲はクラウディオ・モンテベルディの「聖母マリアの夕べの祈り」である。聴きながらいっしょに歌う。傍から見るとやや異常な光景かもしれない。家にいると、呼ばれたとき返事をしなければならないので、このようなマネはできないのだ。シアワセである。
テント類が乾かないので、 結局8時過ぎまでここを発つことができなかった。